ウォルト・ディズニー・カンパニーを立て直したロバート・アイガーCEO
D23 EXPO JAPANのオープニングを飾ったエグゼクティブプレゼンテーションで
我々に多くの感動と驚きを与えてくれたロバート・アイガー会長兼CEOの紹介です。
ウォルト・ディズニー・カンパニー歴代CEO
1923年にウォルトとロイのディズニー兄弟が
ウォルト・ディズニー・カンパニーを設立した、という話は
ディズニー好きの皆さんであれば釈迦に説法かと思います。
ウォルト・ディズニー・カンパニーの歴代のCEOは
ウォルト・ディズニー氏の兄、ロイ・ディズニー氏や
第二のディズニー黄金期を築いたマイケル・アイズナー氏が有名。
また、余談ではありますが、東京ディズニーランド誘致の際の経営陣は
会長はドン・テータム氏、社長にカードン・ウォーカー氏でした。
アイガー氏とディズニー
さて、アイガー氏はニューヨーク州に生まれ育ち
大学はイスコ大学でテレビ・ラジオの分野で学位を取得し
ABCに入社しています。
ABCといえばディズニーランド建設への出資をする代わりに
ウォルト自身が出演する”ディズニーランド”というテレビ番組を放送した
という間柄にある企業であることも有名。
ABCは1986年にキャピタル・シティーズに買収され
そのキャピタル・シティーズもアイズナー氏がCEOを務めるディズニーに買収されました。
この時、アイガー氏はキャピタル・シティーズ/ABCの社長兼最高執行責任者(COO)であり
2000年にはアイガー氏はディズニーの社長兼COOに就任しました。
COO就任後、アイガー氏は”ディズニー”というブランドの再構築にとりかかります。
ディズニー映画の大多数にディズニーというブランド名がついていないことを指摘し
製作費に対する収益性の向上を求め、副産物的に息の長い製品を数多く生み出す可能性のある「コンテンツ・フランチャイズ」に乗り出しました。
現在、ディズニーの製作会社はほとんど全て、ディズニー、ピクサー、マーベル、ABC、ESPNという5つのブランドの傘下に入っています。
上の記事にもある通り、ESPNの事業は盤石であります。
アイガー氏のCEO就任後、メディアネットワーク関連の売上高は42%増加、営業利益はほぼ倍増した。昨年の全営業利益に占める同事業の割合は70%にも達しました。
日本におけるディズニーに対するイメージとは異なり
アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーは
巨大なエンターテイメント・メディア企業なのであります。
アイガー氏とミッキーマウス
D23 EXPO JAPANでもミッキーマウスの新作短編が2本紹介されました。
アイガー氏はミッキーマウスのイメージ修正にも尽力しています。
アイガー氏は、米経営雑誌『バーバード・ビジネス・レビュー』のインタビューで
「時がたつにつれ、ミッキーはエンターテイナー、司会者、企業シンボル になった。そして、面白みがなくなっていった。われわれはミッキーを(的外れでいたずら好きという)本来の姿に戻さなければならないとの結論を出した」と 語りました。
アイガー体制による様々なディズニーの投資
ディズニーがルーカスフィルムを買収すると発表したのは
2012年の10月末のことで、記憶に新しいかと思います。
これまでもディズニーはマーベル(2009)やピクサー(2006)を買収し
そのキャラクターのみならず、技術や人材、ブランドを手にしてきました。
また、2番目に大きい(日本人にとっては意外かもしれませんが)テーマパーク部門で
巨額の投資を回収できるかに注目が集まっています。
フロリダ州オーランドではニューファンタジーランドがオープンし
アバターランドの建設が始まっている。
香港のパークへの投資はまだ続いている一方で
上海にもパークを建設中。上海のテーマパークは2015年後半にオープン予定。
これらの大型投資が収益を生み出して利益率に貢献するのはまだ先の話だが
バーンスタインの推定では、こうした投資のおかげで
2016年9月期には複合年間成長率は9.1%、営業利益増加率は16.1%に上昇する見通し。
アイガー氏の任期は16年6月まで
先述の投資の結果が出るまでの間、アイガー氏はCEOを続けることになりました。
ディズニーはより魅力的な業務体制を築いている最中で
2013年11月1日付ウォール・ストリート・ジャーナルでは
こうした取り組みが利益を生み出し始めることに投資家も備えた方がいい、と締めくくっています。
11月21日(木) 22:00〜22:54 放送
カンブリア宮殿では、テーマパーク事業としてのディズニーよりも
メディア企業としてのディズニーについて深く掘り下げた内容が見れると期待しています。
参考文献一覧